Liveに行くと脱皮する。
「NO MUSIC,NO LIFE」
これは言わずと知れたタワレコのキャッチコピーである。
以前、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔がこの言葉を使わない話をしていた事がある。
まだ売れる前に好きだった女性がろう者だった事が由来している。
音楽をしている彼にとって音楽のない世界で生きている彼女の存在は私のような平凡な人間には想像つかない程とてつもなく大きかっただろう。
音のない世界を知らない私はこれまで人並みに音楽を聴いてきた。
学生時代にはバンドブームがあり、バンドを組んでコピー曲の演奏などもしていた。
バンドにまつわる人間関係はやはりめんどくさく大変な思い出が多かったけれど、音楽を演っている間(特に本番の舞台上)それは私にとって筆舌に尽くしがたい時間だった。
金曜の夜にライブハウスに行ってきた。
acidandroid (L'Arc~en~Ciel のドラマーyukihiroのソロプロジェクト)のライブである。
3年前の春以来のacidandroid。
彼のライブスタイルは独特で、時間になるとスッと始まりMCは一切ない。アンコールもない。歌う以外の言葉は何もない。
ただそこに音楽があるだけなのだ。
春先に別のアーティストのライブに行って以来、そのライブの世界観からなかなか抜け切れないでいたけれど、さすがにライブに来るとacidandroidの世界観に包まれそれを全身で感じる。
ここ数年の私は体調が悪く、スタンディングライブでは何度か途中で倒れている。救護室で看護師さんにお世話になった事もあるくらいなので、季節柄もあり参戦にはかなり慎重になった。寸前まで行くのをやめようかと思ったくらいに。
しかし、結果はやはり行って正解だった。
音楽が、ライブが、メンタルな部分を正常ラインに引き戻してくれた。
頭の中や気分がリフレッシュ、いやリセットされたのを強く感じた。
漠然とした表現でしか書けないけれど、五里霧中で闇の谷間に足を踏み外す寸前だったところで霧が晴れた感じと言えようか。
自分がその深淵に立っていた事に気づけた。
acidandroidの楽曲は正直なところ歌詞の意味など全くもってよく分からない。
なので言葉で感動する要素は何一つない。
繰り返しになるが、本当にただそこに音楽があるだけなのだ。
(まぁ私がyukihiroさんのファンであるというのが大前提だが)
それでもライブの不思議な魔力というべきものなのか、体感したら自分の中の何かが変わる、脱皮するのだ。
私にとってはまさしく「NO MUSIC,NO LIFE」である。
音のない世界に住む人たちに対する思いから、気持ちの折り合いがつけられず手放しで謳歌する事はできないけれど、やはり私には音楽が大事なのだ。
音楽に限らず芝居や映画、ドラマなど物語にもまたそれぞれの魅力があり私には欠かせない。
そんな事をそこはかとなく思う。
※ただし、私の頭の悪さは音楽でもまだ解消できないらしい(笑)